この度は「第10回 彩の国 農業・農村景観フォトコンテスト」への数多くのご応募ありがとうございました。5月から10月まで『埼玉を彩る農業・農村の水土里(みどり)』をテーマに募集をしたところ、313点ものご応募をいただきました。
 去る10月に審査会を開催し、入賞・入選作品が決定しましたのでご報告いたします。
 
「濃霧の中で」  寺澤 俊博
(撮影場所:狭山市)
(審査委員長からの講評)霧で背景が見えないことで、収穫作業する人物が強調されました。高齢者と思えない二人は、夫婦なのか友人同士なのか。いずれにしても若い世代が、農業に従事してくれることで県内の農に対する不安が和らぐ。このタイミングを狙っていた作者に拍手です。
「泥まみれになって」  中條 義男
(撮影場所:さいたま市)
「ホタル舞う頃」  大谷木 春男
(撮影場所:毛呂山町)
    (審査委員長からの講評)広角レンズを使用して、苗のそばまで寄って撮影したことで、苗に育つ強さが表現されました。親子で取り組む体験学習ですが、ボランティアの存在感も効いてます。全体に爽やかさと広がりがあります。苗のスペースを多くしたのが成功しました。    (審査委員長からの講評)完成度の高い作品になりました。水田に植えられた苗もしっかりわかるし、水面に映る蛍光も光跡も表現されています。撮影の時間帯、機材の準備、蒸し暑い無風状態等、作者の計算通りでした。ベテランならではの傑作です。
 
「朝霧が出て」  栗島 進
(撮影場所:吉見町)
「初冬」  野口 仲一
(撮影場所:皆野町)
 
    (審査委員長からの講評)一見すると風景写真のように見えます。作物が何かわかりずらいのが難点です。この広さですから何もないわけがない。霧の向こうの太陽に魅かれたかも知れませんね。手前の稲か麦かを広角で大きく写し、朝霧と太陽を入れれば良かったと思います。 (審査委員長からの講評)軒下に干し柿、屋根に大根。秩父地方の風物詩です。毎年この頃になると農家の主婦は冬支度に追われるのでしょうね。屋根に樹木の陰があることで、陽だまりに干していることや、女性が大根を手にしたタイミングで撮ったことは見事でした。
       
 
 
「ダムからの流れ」  飯川 逸彦
(撮影場所:本庄市)
「麦のめざめ」  今井 秀和
(撮影場所:熊谷市)
 
    (審査委員長からの講評)有形登録文化財としての間瀬堤管理橋。コンクリートが苔に覆われて歴史を感じます。泡の流れをブラす狙いでしたが、シャッター速度が遅すぎて急流になりました。橋の苔や歴史をしっかり写したのに、ゆったりとした時の流れと矛盾したのが惜しまれます。 (審査委員長からの講評)朝日を浴びた麦畑に曲線を描いて、穂が生育している光景が見事です。斜光線が作り出す林の陰が、この麦をいっそう引き立てています。上部をトリミングすると麦畑の広さや輝きをさらに印象付けたことでしょう。
 
 
「田んぼ遊び」  馬場 歩
(撮影場所:行田市)
 「たそがれ」  斉藤 郁太郎
(撮影場所:久喜市)
    (審査委員長からの講評) 今ではほとんど見ることのない虫取り網で遊ぶ姿。広がりのある田園地帯を背景に少女を低いポジションから撮影したことで、子どもに元気の良さを感じます。夕方の柔らかい光がこの少女を魅力的にしています。構図的にも良かったですね。 (審査委員長からの講評)見事な一枚です。すぐ目につきました。偶然の一枚と謙遜していますが、日頃からの水田の広がりと日が沈む方向など承知していて撮れた作品でしょう。田に日が映り込むタイミング、そこに人物が入り込む読み、太陽を入れずに撮ったことなど優れた作品でした。
「仲春の田んぼ道」
高橋 範人
(撮影場所:さいたま市)
「麦秋」
矢板 博
(撮影場所:東秩父村)
    (審査委員長からの講評)県内にもこうして富士山を見られる場所があったんですね。単調になりがちな田んぼの広がり。菜の花のボケと人物が効いています。田んぼと林の境目を上部3分の1にして、空の部分を少なくした構図が成功しました。 (審査委員長からの講評)ビッシリと実った麦の穂。その向こうに市営団地の建物。撮り方も構図もお手本通りです。作品の希少価値から言うと昨日も明日も誰かに撮れてしまう弱さがあります。それが上位争いに加われないポイントです。朝日や夕陽があたるとか、散歩している人がいるとかね。   
          
    「春の農作業」
田中 幸男
(撮影場所:小川町)
  
「誇り」
田中 薔華
(撮影場所:寺坂棚田)
   
    (審査委員長からの講評)県内では珍しい山間の棚田です。当コンテストではお馴染みの作品ですが、中央の人物が代かきをしているのが新鮮です。周囲は新緑と桜、菜の花で春爛漫です。画面構成も適切で、過去の応募作品と比べても出色です。ベテランの味が出ていますね。 (審査委員長からの講評)農家の人だけでなく、物作りの関係者が出来上がった物を見る時の眼差しは、わが子に向けられるものとほぼ変わらないようです。モノクロにしたことで背景の色を省略。了解を得たことで稲穂を見上げる表情が撮れました。老人との距離感も良く大胆な作品になりました。   
               
「レタス畑」
渡辺 郁花
(撮影場所:美里町)
「ジャンボ麦ワラ人形」
真下 廣義
(撮影場所:熊谷市)
(審査委員長からの講評)広いレタス畑を見つけました。感動がそのまま作品に表れているようです。この風景の遠近感をだしたのは良いのですが、右下の黒い土の部分をフレームアウトできるとさらに良いものになりました。もう少し高い位置からの撮影も考えてみましょう。  (審査委員長からの講評)全国に増える休耕田。とりあえずという形で花などを植えている地域が、多いようです。上手なワラ人形が参加者募集にひと役買っています。そのまま撮ると著作権の問題もないとは限らないので、小道具を置いたり、後方にフェンスを入れたのは良かったですね。
               
               
「収穫の花田圃」
清水 洋
(撮影場所:加須市)
「田植前の準備」
堀之内 稔
(撮影場所:蓮田市)
     (審査委員長からの講評)ホテイアオイが見事に咲きほこっています。人物を大きく撮ったことがここでは成功しています。左手に持った花の根のあたりを見る目、多分切り花でなく鉢植えとして販売するのでしょう。見つめる目や横顔に光があたり、それを想像させるタイミングで撮りました。  (審査委員長からの講評)スケールの大きな水田地帯ですね。こうして野焼きをすることで害虫駆除になるのでしょう。薬剤の散布でなく、昔から伝わる農業方式であり、穀倉地帯だったことが理解できます。左端に人物を配したことで、畔草を焼く広がりや奥行が出ました。 
「稲架掛けのある風景」
須藤 康男
(撮影場所:横瀬町)
     (審査委員長からの講評)いまではほとんど見ることがない、養蚕の家庭を訪ねて撮影したことが素晴しい。戦後、化学繊維に押されて全国の養蚕農家の多くが廃業となり姿を消しました。成虫や繭玉づくりの様子など今後の撮影に期待。ストロボ光を弱目にするとさらに雰囲気が出ました。    
         
         
         
        
      「農を受けつぐ」  小沢 照江
(撮影場所:坂戸市)
 
     (審査委員長からの講評)女性らしい視点で撮影されました。運転する娘に直接声を出して助言する父。声を出さずとも、心配で両手に力の入る祖父。この場面を正面から撮れたのは作者が母親だからかな?後方の鉄塔が左寄りのバランスを支えています。  
         
               
           
       「小さなスイカ」  北崎 想大
(撮影場所:坂戸市)
   
(審査委員長からの講評)こうした球面の被写体は初心者が、ピントを合わせるのに苦労するのですが、この作品はそういう問題を難なくクリアしています。手前の繊毛がしっかり見えてます。スイカの下の倒木を半分にして、上部のつるがつながるよう撮れると生命力も表現出来ました。